誘拐ビジネスから発展した!?移民・難民の「密入国ビジネス」

 

最初は、誘拐の話だが、途中から、移民・難民を輸送する密入国ビジネスの話。

 

移民・難民の話が始まる部分は、緑で色を付けた。


http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20161228-00150128-toyo-column

池上彰が愕然とした「誘拐経済」の深すぎる闇
9時00分配信 東洋経済オンライン

 

「これは恐ろしい本」。そう断言するのは自らも中東取材経験が長い池上彰氏だ。経済のグローバル化にともなうテロのグローバル化の分析をいち早く行ってきたロレッタ・ナポリオーニの新著『人質の経済学』は、2002年の9.11事件以降、どのようにテロ組織が、誘拐を大きな資金源にして成長していたかが書かれている。人質の救出解放を交渉するプロの「誘拐交渉人」、政府高官、救出された人質らに直接取材し、このビジネスの広がりを取材した同著を、池上彰氏が解説する。 

 

 これは恐ろしい本です。かけがえのない生命を持った人間が、単なる商品として取引される実態を克明に描いているからです。

 

■「1カ所での滞在時間は15分以内で」

 

 ここには、シリアでIS(イスラム国)の人質になって殺害された後藤健二さんも登場します。後藤さんとは、ヨルダンやレバノン、リビアでご一緒し、危険地帯での取材方法など貴重なアドバイスを受けました。後藤さんから受けたアドバイスの中のひとつに「15分ルール」があります。リビアでカダフィ政権が崩壊した直後に、テレビ番組の取材でリビアの首都トリポリ各地で撮影をしていたときのこと。「1カ所での滞在時間は15分以内で」というものでした。

 

 どこに過激派が潜んでいるかわからない。過激派のテロ部隊あるいは誘拐実行組織に通報する人物もいるだろう。その連中が我々取材陣を発見した場合、実行部隊に連絡し、部隊が駆け付けるまで15分はかかる。だから、その前に移動しなさい、というものでした。

 

 経験豊富な後藤さんならではのアドバイス。しっかり守って取材を続けました。それだけに、後藤さんがなぜ殺害されてしまったのかについての本書の分析は心が痛みます。

 

解放される人と殺害される人の違いは何か

 後藤さんは「当初、身代金と引き換えにするグループに分類されていた」のに、「2015年1月の安倍首相の中東訪問ですべてが変わる」ことになったというのです。「身代金目当ての人質から外交戦略の駒に転換された」と著者は指摘します。

 

 本書の著者ロレッタ・ナポリオーニ氏は、マネーロンダリングとテロ組織の資金調達に関する研究の専門家です。2015年にはISが単なるテロ組織ではなく、本格的な「国家」を建設しようとしていることをいち早く見抜き、『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』を世に問い、話題になりました。

 

 日々のニュースでは、欧米人が誘拐された、人質になっていた人が解放された、という単発の出来事が伝えられますが、そこには「人質ビジネス」あるいは「身代金ビジネス」存在しているという事実を分析したのが、この新著『人質の経済学』です。

 

 紛争地に難民や病人を救援するために赴いた援助団体の人が誘拐される。紛争地の悲惨な状況を世界に伝えようと取材に入ったジャーナリストが人質になる。この人たちの一部は解放され、一部は殺害される。その違いは何か。『人質の経済学』は、その境界線を見事に解き明かしています。

 

■秘密裡に巨額の身代金が動いている

 

 人質事件が起きると、次のようなメッセージを聞くことが多いでしょう。

 

 「テロリストとは交渉しない」

 

 これは、身代金を要求したり、政治的要求を突き付けたりする組織が出てくると、世界各国政府が異口同音に発する声明です。テロリストの要求に屈して身代金を支払うと、テロリストが味をしめ、誘拐・人質事件が続発することになるから、というわけです。

 

 テロリストとは交渉しない。ということは、人質になった人が見捨てられることを意味します。しかし、その人質たちの一部は無事に解放されます。なぜか。秘密裡巨額の身代金動いているからです。

 

 しかし、各国政府は、身代金の支払い表向き否定します。「テロリストと交渉」したことを認めてしまうからです。

 

 誘拐された人物が、国際援助団体のメンバーだった場合、救出できないと、本人が属する国の政府が批判を受けます。批判を受けないようにするため、政府は秘密裡に身代金を支払うのです。ここでは、誘拐された人の属性によって、各国政府救出のための優先順位つけているという冷酷な事実を、著者は剔抉(てつけつ)します。

 

ソマリア沖の海賊たち
 こうして「交渉」が行われ、巨額の身代金をせしめたテロ組織は、危惧されたとおり、第2、第3の誘拐を実行します。かくして人質ビジネスは猖獗を極めるのです。

 

 一方、人質になった人は、その人がどこの国籍かで受ける扱いは天と地ほどの違いがあります。イタリアのNGOに所属していた2人の女性がイラクで誘拐され、身代金を要求された末、解放されると、彼女たちは祖国でヒロインとして大歓迎されました。

 

 一方、日本人が人質になると、どんな扱いを受けるのか。2004年4月、イラクで活動していた日本人三人が人質になると、「彼らはヒーローになるどころか、日本の恥だと糾弾され、政府の渡航自粛勧告を無視して拉致されたのだから自業自得だとののしられた」のです。イタリアと日本は、どうしてここまで違うのでしょうか。

 

 人質を取って身代金を要求するとカネになる。犯罪者たちや過激派テロリストたちは、大いなる“ビジネスチャンス”を見いだしました。「人道支援活動家と国連スタッフが最高のターゲットとされたのも一時期のことで、いまや欧米のパスポートを持っている人間なら誰でも、大金をもたらす獲物と見なされている」

 

 恐るべきことです。

 

■移民や難民を輸送する「密入国ビジネス」

 

 当初、中東や北アフリカで起きていた誘拐は、やがてソマリア沖の海賊たちも手掛けるようになります。海賊となると、陸上での単純な誘拐と異なり、多額の初期投資が必要になります。海賊ビジネスは「初期資本主義の古典的な投資モデルに近い」ということになるのです。

 

 こうして誘拐ビジネス発展すると、今度移民難民輸送する商売にまで手を伸ばします。密入国ビジネスです。

 

 2015年から翌年にかけて、ヨーロッパには多数の難民が押し寄せました。北アフリカから地中海を渡ってイタリアやギリシャを目指す難民たち。そこには、難民たちから手数料せしめて船に乗り込ませる犯罪者集団がいました。

 

 このビジネスは、わざわざ誘拐をする必要がありません。ヨーロッパに渡りたいと希望する大勢の難民たち船に押し込めさえすればいいのです。が途中で転覆し、乗っていた大勢の難民たちが犠牲になろうが、犯罪者集団痛み感じません

 

新たな過激派組織・犯罪者集団を生まないために
 では、こうしたビジネスは、どうして始まったのか。発端は、2001年9月に起きたアメリカ同時多発テロでした。この事件をきっかけに、アメリカはテロ対策のための「愛国者法」を制定。犯罪者集団にとって、マネーロンダリングが困難になりました。これが思わぬ形で新たな犯罪を引き起こすことになるのですから、世の中は皮肉なものです。

 

 こうした犯罪がビジネスとして成立する以上、そこには投資資金回収メカニズム存在します。人の生命をもてあそんで利益を上げる犯罪に投資する仕組みがある。ここにも経済活動があり、経済学の研究対象になります。

 

■世界は連帯して立ち向かうべき

 

 知れば知るほど、恐ろしくなりますが、これが現実世界です。この現実に対し、著者は安易な解決策など提起していません。それほど深刻な事態なのです。

 

 この背景には、東西冷戦以降に進んだグローバル化があります。世界はネットで結ばれ、身代金の要求も受け取りも、はるかに容易になりました。人質ビジネスが盛んになると、国際的な人道支援団体は危険地帯から手を引かざるをえません。紛争地帯の人々は見捨てられることになります。世界から見捨てられた人々の中から、やがて新たな過激派組織・犯罪者集団が生まれてくることでしょう

 

 そんなことにならないように、世界は連帯して立ち向かわなければなりませんが、アメリカでは「自国第一」を主張するドナルド・トランプ氏が大統領に当選しました。欧州ではイギリスがEU(欧州連合)から離脱します。世界各国内向きの傾向進んでいます。しかし、世界が振り向かなくなったら、何が起きるかは明らかです。

 

 そうならないためには、どうすればいいのか。まずは敵のことを知る必要があります。そのために、この本は役立つことでしょう。

 

池上 彰

※ 赤字・緑字・太字 は管理人による。なお、記事中で、元々太字だった部分は、アンダーラインで表示した。

 

混乱や争いから、犯罪者集団が、のさばることになる。

 

この根っこのところを、何とかしなければならないが・・・なかなか難しいだろう。

 

この「移民・難民」は、移住したヨーロッパで、差別や貧困などから、今度は「移民・難民」たち自身が、テロを起こすようになるおそれが高く、ヨーロッパの混乱は、しばらく続くだろう。

 

とにかく、日本は、日本の安全を確保したうえで、可能な範囲で、支援するということが大切だろう。

 

自分たちの安全が確保されない状態で、他人の安全を考える余裕はない。

 

「移民・難民」を受け入れるのではなく、他の方法での支援が大切である。

 

一応、池上さんが紹介している本の、アマゾンへのリンク。興味がある人はどうぞ。

人質の経済学

 

その他の本も紹介。治安のいい日本ですら、こんな裏ビジネスが存在するのだから、世界では、とんでもないことだらけである。 

図解 裏ビジネスのカラクリ (文庫ぎんが堂)

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