日本の戸籍に記載される「中国」とは?

李登輝友の会」という団体が、次の主張をしている。

 

「台湾出身者が「中国」とされている戸籍問題の解決を!」

 

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http://www.ritouki.jp/index.php/recommendations/koseki/

 

これを読んで、違和感があったので、次のとおり、意見を述べておく。

 

⑴台湾戸籍でも「台湾省」の記載

 

台湾戸籍を仕事で見るが、昔のものではなく、30代の人の台湾戸籍でも、「出生地」欄に「臺彎省○○縣」と書いているものを、少なからず見る(常用漢字にすると、台湾省○○県)。

 

したがって、日本の戸籍だけ文句を言われる筋合いはない。

 

⑵出生地は、本国の公的資料で認定するのが原則

帰化する人の出生地の認定(日本の戸籍の「出生地」欄に、どのように記載するか)について、日本政府(法務省民事局)は、原則的に、本国の公的資料(本件では台湾戸籍)の記載に基づいて行っている。

 

そして、出生地の認定は、出生「当時」の、その地域の呼び方で行っている。

 

例えば、昭和10年に、現在の渋谷区で生まれた外国人が、日本に帰化した場合、その人の戸籍の「出生地」欄には、「東京市渋谷区」と記載されます(「東京府」は省略するのが一般的)。

 

中華民国(台湾)の行政区画として、(現在、形骸化しているとしても)「台湾省」が存在し、また、台湾戸籍にも「台湾省」と記載されているのなら、日本政府も、日本戸籍を作る時に、「台湾省」を記載せざるを得ない。

 

中華民国(台湾)の行政区画から「台湾省」を完全に無くし、更に、台湾戸籍からも「台湾省」を無くしてから、日本政府に要求してもらうのが、筋であろう。

 

※ただし、もしかすると、「台湾省」が形骸化された後に生まれた人は、台湾戸籍の「出生地」欄に、「台湾省」とは記載されていないかもしれない。

 

いずれにせよ、行政区画に(形骸化しているにせよ)「台湾省」が残っている限り、話にならないだろう。

 

 

⑶日本の戸籍は日本人だけにある。

日本の「戸籍」があるのは、日本「国籍」がある人(日本人)だけである。

 

外国人に、日本の戸籍は作られない。

 

したがって、日本の「戸籍」があることが、日本「国籍」があることの証明になる。

 

これは、意外と知られていない。

 

「外国人配偶者も、日本の戸籍に記載されている」という人もいる。

 

確かに記載されてはいるが、これは、外国人に、日本の戸籍がある、というわけではない。

 

あくまで、日本の戸籍があるのは、「戸籍に記録されている者」欄に、「【名】○○」と記載されている人だけである。


この人の「身分事項」欄に、外国人配偶者の記載があるだけ、という感じである。

 

外国人でも、帰化して、日本国籍を取れば、もちろん日本の戸籍が作られる。

 

一方、在留カードは「外国人」だけが所持するものであり、日本人にはない。

 

この在留カード等の「外国人」が所持等するものは、なるべく外国人目線を反映させるべきだとは思う。

 

しかし、「日本人」のみにある戸籍は、最大限の配慮をしつつも、日本側からの視点で構わないと思う。

 

日本の戸籍は、帰化した人を含む「日本人」だけにあるものなので、基本的に「日本人」だけの問題である。

 

しかも、台湾人で帰化する人は、日本戸籍に「中国」と記載されることを承知で「日本人」になる。

 

帰化して日本人になるのなら、日本政府の方針に従ってもらうのは、仕方がないと思う。

 

どうしても嫌なら、帰化しなければよいのである。

 

日本戸籍の記載の仕方について、きつい言い方をすると、「台湾人」の問題ではないのである。

 

外国人は、自分のパスポートや在留カードで、自分の身分を証明すればよいだけである。

 

⑷日本戸籍は、本土も台湾も「中国」

 


日本政府は、「中国」と「中華人民共和国」と「中華民国」の3つを使い分けている。

 

「中国」と「中華人民共和国」は、完全にイコールではないはずである。

 

帰化した人の戸籍でも、「帰化の際の国籍」欄には、本土系の人も台湾系の人も、単に「中国」と記載される。

 

中華人民共和国」や「中華民国」とは記載されない。

 

中華人民共和国」や「中華民国」と記載せず、両方の略称(政府は、そう考えてないかもしれないが)とも取れる「中国」との記載は、考え方によっては、配慮のあるものだと思われる。

 

〈まとめ〉

よくテレビに出ている弁護士等が、外国人や国籍が絡む問題で、「差別だ」と叫びがちであるが、すぐに同調することなく、落ち着いて考える必要がある。

 

憲法でも、14条の平等権を考えるとき、「差別」はダメだが、「合理的な区別」は許されるとされている。

 

憲法を学んだ者(もちろん弁護士を含む)なら常識である。

 

いずれにせよ、中華人民共和国中華民国(台湾)との問題は、外交的・政治的配慮が必要なため、全ての人が納得するのは難しいであろう。