蓮舫さんの二重国籍問題(朝日新聞)

メディアを盲目的に信用することは、絶対にしてはいけない。

 

メディアには、それぞれの傾向・主張が当然あるが(保守・リベラル等)、それに引きずられて、事実誤認等してしまうことがあるからである。

 

たとえば、「慰安婦問題」についての朝日新聞の誤報は、(日本国内では)非常に有名である。

 

朝日新聞は、最近も誤報をしてしまった。蓮舫さんの二重国籍問題についての記事である。

 

そもそも、外交問題に詳しい人がいたなら、国籍法をよく知らなくても、おかしいとすぐに分かりそうなものであるが・・・。

 

蓮舫さんの二重国籍問題で、朝日新聞は次のとおり報道した(2016年9月8日)。

http://www.asahi.com/articles/ASJ975FTQJ97UTFK00D.html

 

 

日本政府は台湾と国交がないため、日本国内で台湾籍を持つ人には、中国の法律が適用されるとの立場をとる。中国の国籍法は「外国に定住している中国人で、自己の意思で外国籍を取得した者は、中国籍を自動的に失う」などと規定。中国法に基づけば、蓮舫氏が日本国籍を取得した85年の時点で、中国籍を喪失したという解釈が成り立つ余地がある。

 

 

管理人は、国籍法を仕事で使っているため、この記事を読んだ瞬間に、間違いだと分かった。

 

事実は、日本の国籍事務において、「台湾籍の人には、台湾の法律を適用している。」である。

 

台湾籍の人には、台湾の戸籍の提出を求めているし、中華人民共和国の人には、大陸にある各省の公証処という役所から、「出生の公証書」等の書類の提出を求めている。

 

また、台湾には認知制度があるため、台湾の人が帰化して、日本の戸籍が作られる際には、その認知制度を反映させた日本の戸籍を作成する。

 

一方、中華人民共和国には認知制度がないため、中華人民共和国の人が帰化して、日本の戸籍が作られる際に、認知制度を考慮する余地はない。

 

この「台湾籍の人には、台湾の法律を適用している。」は、次の法務委員会(「法の適用に関する通則法」案の審査)でのやり取りからも明らかである。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000417120090512010.htm

 

 

○杉浦国務大臣 台湾の人々につきましては、今までの法例においての解釈があったわけでありますが、本法案によっても、どのように決定するかについては、現行法例どおり、変わるところはございません。

 

 

 

 国際私法上、考え方としては複数ございまして、一つは、国際私法においては、外交上の承認のあるなしとは関係なく、中国の状態を二つの国家が存在するものと見て、それぞれの国の国籍法によって二重国籍になる場合には、重国籍者の本国法の決定の問題として処理するという考え方が一つございますし、また、国内に二つの政府が存在して、それぞれの支配地域に独自の法を有する地域的不統一法国類似のものと見まして、本法案三十八条三項を類推適用するというような考え方もあるわけでございます。

 

 

 

 いずれにしても、準拠法の指定は、国際私法においては、私法関係に適用すべき最も適切な法は関係する法のうちどれであるかという観点から決まる問題でございまして、一般に国家または政府に対する外交上の承認の有無とは関係がないと解されておりまして、台湾出身の方については、国際私法上は、台湾において台湾の法が実効性を有している以上、その法が本国法として適用されるということとなり、実務上もそのように取り扱われているというふうに承知しております。

 

 

 

○枝野委員 当然、台湾法が適用されなければいけないと思いますし、また、そのことは国際関係上の国家としての承認ということとは全く別次元で決められる、これも非常に正しいことだというふうに思っております。」

 

 

管理人の推測ではあるが、おそらく、朝日新聞は、蓮舫さんを擁護したかったため(蓮舫さんは、朝日新聞が大好きな「多様性」の象徴である。)、蓮舫さんにとって都合のいい形になるように(つまり、二重国籍の問題は生じないということに)、世論を誘導したかったのであろう。

 

そして、朝日新聞は、外交問題に「非常に疎い」ことも見て取れる。

 

そもそも、日本政府は、「中国」と「中華人民共和国」と「中華民国(台湾)」を使い分けているが、朝日新聞は、単に「中国」としており、あまりよく分かっていないようである。

 

日中共同声明においては、次のような記載ぶりとなっている。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html

 

二 日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。

 

三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。 

 

朝日新聞は、台湾の主権を無くしてしまったかのような記載ぶりだが、日本政府は、上記のように、「中華人民共和国」の「立場」を「十分理解し、尊重」しているだけである。

 

次の質問主意書への答弁からも、日本政府の使い分けが分かる。

 

質問

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a164316.htm

 

中華民国中華人民共和国の継承関係に関する質問主意書

 

一 中華民国はいつ成立したか。

二 中華人民共和国はいつ成立したか。

三 政府は、中華民国という国家が現在存在していると認識しているか。

四 三に関し、中華民国という国家が現在存在していないと政府が認識しているならば、政府はいつ中華民国が消滅したと考えているか。

五 政府は、過去に中華民国中華人民共和国という「二つの中国」が存在した時期があると認識しているか。

六 五に関し、「二つの中国」が存在していた時期があると政府が認識しているならば、その期間を明示されたい。

七 国家継承の定義如何。

八 中華人民共和国中華民国の継承国家か。

 

 右質問する。

 

 

答弁

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b164316.htm

 

衆議院議員鈴木宗男君提出中華民国中華人民共和国の継承関係に関する質問に対する答弁書

 

一から六までについて

 

 千九百十二年以降中国を代表する政府であった中華民国政府は、「中華民国」を正式国名として使用していた。我が国政府は、中国は一つであるとの認識の下、千九百七十二年に、この中華民国政府に代わって、千九百四十九年以降「中華人民共和国」を正式国名として使用していた中華人民共和国政府を中国を代表する政府として承認している。

 

七について

 

 国家承継とは、一般に、国際法上、一定地域についての領域主権が、ある国からその後継国に移る場合に、国際法上の権利及び義務がその後継国に承継されることをいうと承知している。

 

八について

 

 「中華人民共和国」と「中華民国」との関係は一から六までについてで述べたとおりであり、国家承継の問題は存在しない。

 

ということで、大手新聞も、盲目的に信用してはいけないと思うのである。